こんにちは。今回は、全文検索とフォルダ管理の違いについて書いていきたいと思います。
社内の資料の管理方法はいろいろあると思いますが、それぞれ違いをはっきりと理解しておくと、今後どのように資料を管理していくべきか検討するキッカケにしていただけると思います。また、多くの職場で課題になっている技能伝承について打開するヒントになるかもしれません。ぜひ最後まで読んでいただけると幸いです。
フォルダ管理(おさらい)
フォルダ管理と言えば、こんな感じですよね。おそらく多くの会社様でこのような仕組みが構築されていると思います。

年度、設備、メーカーごとにフォルダに分けたり、あるいは事故、定期検査、日常点検などにフォルダを分けをしたり、ファイル名を、”年度_設備名_定期検査.pdf”のようにルールを定めて運用されているケースが多いようです。
この方法は、探したい資料が明確で、チームメンバーの数やファイルの種類やカテゴリーが少ない時には比較的うまく機能しているようです。
一方で、複雑化してきたときには手に負えなくなっているケースも事実です。
「保管するルールになっているのに、個人の端末や紙のまま放置されている」
「フォルダの保管場所・ファイル名前のルール徹底されない」
などに陥っている方はいらっしゃいませんでしょうか?
また、フォルダの構成も悩ましい問題です。
たとえばあるケースでは、
ケース1
昨年の定期検査の実施内容を参考にするため、2019年の定期検査の資料を探したい
またあるケースでは、
ケース2
運転データで2次過熱器のメタル温度が異常に上がったため、類似事例を探したい
このように保管したファイルを探したいときの状況は様々です。ケース1ではフォルダ管理が徹底されていれば探せますが、ケース2では過去のトラブル事例を一つ一つ開かないとわからないですよね。
実際、多くの職場でケース1のような平常時の対応は比較的若手のみなさまが仕事をすすめられているようですが、ケース2のようなトラブル対応は必ずと言っていいほどベテランの人が登場しないと解決できていないようです。

若手の人は経験が浅い分、類似事例のファイルを探さなければなりませんが、ベテランの人はファイルを探さなくてもご自身の記憶に残っているのでスピーディーに問題が解決できるわけです。
逆に言えば若手の人でも類似事例さえすぐに見つけられればトラブル対応ができるようになるかもしれませんね。
そこで登場するのが、”全文検索”というソリューションです。この単語は意外となじみが少ないかもしれません。

最近では”エンタープライズサーチ”とも呼ばれるものですが、
ひとことで言えば、
「”ググる”ように社内の資料を検索できるようにすること」
となります。もう少し以下で、全文検索とは何かを分かりやすく解説していきます。

全文検索とは?
フォルダ管理との違いを簡単に説明させていただきます。
すべての単語を探し出します
まず、フォルダ管理手法との一番の違いは、資料のタイトルだけでなく、本文も含めてすべての文章をコンピュータに認識させ、検索を可能にするところです。
フォルダ管理の時には、フォルダの構成やファイルの名前をヒントにしないと資料を探し出せない状況でしたが、全文検索では、すべてのファイルのすべての単語にアクセスが可能です。
全文検索とはその名の通り、本文も含めてすべて検索可能にします。
また、検索キーワードの出現回数を加味してファイルの関連度合いを計算しているため、ユーザの意図にあった結果が返すことができます。

早いです
すべての単語を探すの?めちゃくちゃ時間がかかるんじゃないの?という疑問を持たれることがあると思いますが、そんな心配はありません。通常0.1秒程度で結果がかえってきます。
なぜか?実は、全文検索では、あらかじめ検索対象の資料に索引をつくっています。
ユーザーの検索キーワード入力を待たずに、すべての資料のすべての単語を検索化を終えています。
技術専門書などを開くと書籍の最後に”索引”ってありますよね?どんな単語がどのページに記載あるのかが書かれているものです。
まさにこれと同じ考え方で、全文検索では、どのファイルにどんな単語が何回出てくるのかという情報をあらかじめ保有しています。
ユーザが検索キーワードを入力するとその単語が含まれるファイルが関連度合いの高いもの順にランキング形式で帰ってきます。
似た言葉を登録できます
例えば、保全業務をしていると人によって使う言葉が微妙に違ったりします。
たとえば「スーツブロワ」というボイラ炉内の灰を清掃するための設備がありますが、これを「スーツブロワ」と半角で表現したり、「スートブロワ」とちょっと違う表記にしたりする人がいます。
これらはすべて同じ意味ですし、どれが正しくてどれが間違っているわけでもありません。
こういう単語は同義語として登録をしてしまえば検索するファイルにどの記載があれていてもちゃんと検索結果として出てきてくれます。

全文検索を可能にするには
ワードやエクセル、パワーポイントといった形式のファイルであればあらかじめコンピュータがファイルに書かれている文章を認識することができるようになっています。
また、pdfファイルであればOCR処理(テキスト認識処理)が出来ているものであれば、文章を認識することが出来ます。
Acrobat2017など最近ではさまざまなOCR処理用のエンジンが安価で手に入るようになっています。皆様の職場でも導入されているかもしれません。
これら認識されたファイルを対象にElasticsearchという検索エンジンを使えば実現できます。日本ではYahoo!やメルカリの検索機能の裏側に利用されているようです。
なお、弊社では、過去に作成した事故報告書、技術連絡書、図面、取り扱い説明書、その他保全お役立ち資料を検索可能な状態にしてオンラインで利用いただけるサービスを提供しています。ご興味あればぜひお声掛けくださいませ!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
今後も定期的に保全業務にお役立ちできる記事を投稿していきますので、ぜひフォローをお願いいたします!