ボイラ制御基本の「キ」vol.2~3つの用語、ON/OFF、PID制御~ 

こんにちは。今回はボイラ制御を学ぶ上で、知っておくと得する「3つの用語」「ON/OFF制御」「PID制御」についてわかりやすく、例をまじえてご説明します。 

制御の基礎を理解しておくと、運転データ監視、異常発生時のトラブル対応、運転データの活用方法、IoTサービスの企画などさまざまなところで活躍できます。ぜひお読みください!

前回のブログでボイラ制御を代表する3つの制御系について説明しました。もし見逃されている方は、ぜひ読んでみてください。

読んでいただいて、”ふむふむ、主蒸気圧力は燃料で制御してるんだね、、、。いやいや待てよ、結局のところ【制御している】ってなにをどうしてるの?” と思われた方もいるかもしれません。

今回はそのあたりのことを、制御エンジニアっぽいキーワードとともに紹介します。今回も超初歩的にまとめているので、お詳しい方はどうぞご容赦ください。

(キーワード:SV/PV/MV、PID制御、PID controller)

SV、PV、MVとは何か?

これ、なんのことかわかりますか?「何を制御するか?」に関わらず、制御の基本を理解する上で、重要なポイントになりますのでちょっとだけお付き合いください。

SV: Set Value (設定値)

PV: Process Value (計測値)

MV: Manipulated Variable (操作量)

頭文字をとっていて、日本語にすると設定値計測値、そして操作量になります。(ググるとわかりますが、VはValue/Variableのそれぞれどちらでも説明されています)大差ない(と筆者は考えている)ので、SV、PV、MVとイニシャルで覚えてもらって構いません。「いったい何のこと?」と思われた方、大丈夫、身近な例で説明していきます。

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 エレベーターを例に考えてみましょう。あなたは今1階から乗って10階のボタンを押しました。ドアが閉まり、上昇を始めました。

このとき、SV(設定値)10階PV(計測値)1階MV(操作量)エレベータの進む量となります。

ボイラの主蒸気圧力に話を戻すと、SV〇〇MPaと人や制御装置が設定するもの、PV配管についている圧力計の値MV燃料投入量になります。

要するに、それぞれの意味は以下の通りとなります。

「目標とする値」=SV(設定値)

「今この値です」= PV(計測値)

「こういう変化をさせよう」= MV(操作量)

制御エンジニアが運転データを確認するとき、まずこのSVPVの差、そしてMVの振れを見ることが一般的です。

ということで、制御について考える時に必ず登場するこの3つの用語を紹介しました。

ON/OFF制御

次にON/OFF制御というものをご紹介します。これはもっとも簡単な制御の方法です。ON=動いているOFF=止める の2つしかないものです。

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みなさんは自動車の運転をしているときに、”赤信号まであと50メートルくらいなので、少しずつブレーキを踏んで止まろう”なんてことを感覚でやっていると思います。

残念ながら、ON/OFF制御の機械では、「少しずつ」が上手くできません。

ON/OFF制御でエレベーターを制御しようとすると、全力で動く停止かの2つしかなので、先ほどの1階でエレベーターに乗って、10階のボタンを押した例ではどうなるでしょうか?

エレベーターは、10階のボタンを押した後、全力で上昇し、10階になったらピタっと急に止まろうとします。通り過ぎたらこれまた全力で下降し、10階を狙い、ピタっととまろうとします。

なんだか下手くそな電車の運転士みたいで、こんなエレベーターは乗りたくないですよね。

そこで、次はもう少し便利な制御方法を紹介します。

P制御、PI制御、PID制御

 ここで登場するのがP(Proportional)制御です。日本語でいうと比例制御です。このP制御からさらに発展した手法として、PI制御、PID制御という制御方法もあります。一連の制御方法をまとめてご紹介します。

先程、ON/OFF制御の説明で「こんなエレベーターは乗りたくない」と説明しましたが、このP制御を使うと、10階が近づいてきたらスピードを緩めることが可能となります。

自動車の運転でいえば、高速道路を走っているときに、出口までの距離が1キロ以上あるときは時速100km/h、出口まで距離が500メートルの時は時速50km/h、出口まで100メートルの時は時速30km/h、出口直前の時は時速15km/hと操作するようなイメージでしょうか。この場合、アクセルやブレーキ操作がMVになります。

要するにその時点の、SVとPVの差をもとにMVを変化させることをおこなってるんですね。

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P制御の弱点

しかし、このP制御にはひとつ弱点がありました。

それは、PVがSVに近づくにつれMVの値がどんどんと小さくなり、最終的に到達しない、もしくはその機器では制御できない状態となってしまうということです。10階に到着する直前、ほんの少し、ほんの少しずつしか進まず、いつまで経ってもSVに到着できないということです。

このほんの少しの差をなくしてSVに到達するためにI(Integral)要素が登場します。

P制御と組み合わせて、PI制御(比例積分制御)です。P制御で無くすことができなかったほんの少しの差を積分することで蓄積し、その差をなくすようにMVを調整することができます。なんだか難しくなってきましたね。大丈夫、まずはそのイメージだけ掴んでください。

しかし、このPI制御にもいくつか弱点があって、SVとPVの差を蓄積する時間が必要ということです。

10階到着ぎりぎりなのに、なかなか最後の一歩が進まないイメージです。そのほか、積分する時間を適切に設定しないと、想定以上にSVとMVの差を大きく判断し、MV値を過大に設定、SV値を大きく超えてしまうこと(オーバーシュート)や、SV値の前後をいったりきたり(ハンチング)する恐れがあります。

ここまで、比例・積分ときたので次は微分(Differential)だ!と想像できた方もいるのではないでしょうか。

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PI制御の弱点を埋めるために、微分要素というものを紹介します。ここで登場するD要素は、SVとPVの差の変化量から操作量を決めることができます。ちょっと難しいですね。

イメージとしては、今はまだ2階だからスピードをあげよう、そろそろ9階だからスピードを下げよう、など先を見通して制御することができるようになります。

但し、実際のところボイラ制御の中ではPI制御が大部分を占めており、PID制御はほぼ使われていません。

厳密なD要素を組み込むことが難しいといった理由もありますが、必要以上の制御回路を組み込むべきではないという設計思想も理由のひとつだと考えています。

まとめ

 今回はボイラ制御を学ぶ上で、イメージを持っていてもらいたい基本情報をまとめました。

 ・主蒸気圧力制御は、目標のSV値(圧力)に近づけるため現在のPV値との差を求め、MV値(燃料投入量)を制御している。

 ・制御にはP、I、Dといった3つの要素があり、基本的にPI制御を使用している。

制御関係の図面には記号やアルファベットが並び、イメージし辛く取っつきにくいことは事実だと思います。

ですが、ほんの少し読んでみるだけで設備全体の動きや機器同士の関わりが見えてくるので、食わず嫌いせず図面を手に取ってほしいなと思っています。

世の中にはたくさんの制御機器が溢れています。例えば次回エレベーターに乗った際、これがSmartInspectionのブログで読んだPI(D)制御か、と思い出して頂けたら嬉しいです。

最後まで読んで頂きありがとうございました!また読者の皆様にとって有益な記事を書いていきますので、是非フォローをお願い致します。

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