ボイラ制御基本の「キ」vol.4~ボイラ効率を上げることができるか?~

こんにちは。

前回の記事で、1%のボイラ効率の良し悪しで大きな金額が動きますよ ということを説明させて頂きました。今回は、効率を上げることについて、AIの登場といった最近のトレンドなども交えながら、もう少し掘り下げて説明したいと思います。

前回の記事をまだ読んでいない方、または内容を忘れてしまった方は、ぜひおさらいして頂けると幸いです。

(キーワード:ボイラ効率、AI)

基本の「キ」シリーズは新入社員など経験の浅い方に向けて、できるだけ平易な表現を用いて記述しています。物足りない方も多いかと思いますが、若手への転送など新人教育に活用頂けたら幸いです。

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ボイラ効率を上げるということ

効率を上げれば良いんだね!と言われても、どういうことかなかなかイメージできませんよね。自動車を例に説明しますので、まずは軽い気持ちで読んでみてください。

みなさんは暮らしの中で、「今日は高速道路を走ったから燃費が良くてリッター〇〇キロも走った↑」「真夏の炎天下に渋滞に巻き込まれてエアコンも効かないし(気分も最悪だし)ガソリン代も多くかかった、、、↓」などを耳にしたことはありませんか?

これはつまり、

 Good:高速道路は信号もないし高速で安定した運転をしているので自動車にとって都合が良い

 Bad:渋滞は進んだり止まったり、さらにはエアコンも消すわけにはいかないし、自動車にとって都合が悪い

ということですね。

ふむふむ、じゃぁボイラも高速道路を走るように高出力で運転してなおかつ省エネのために補機も止めてしまえば効率上がってお財布も潤うんだね♪と思われた方、、、ほんとうにそんなこと可能でしょうか。間違いではありませんし、むしろ正解なんですけど、、、それ、今のボイラの運転状態と同じですよね?

そうなんです。ボイラは信号も渋滞もない高速道路をひたすら都合の良い環境の中で走り続けているみたいなものなのです。ということで、ボイラは自動車のような燃費向上は容易にできないことを、まずは覚えておいてください。

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効率UP可能なケース

なんだ、結局ボイラ効率を上げることはできないってこと?と残念に思われた方も多いかもしれません。ご安心ください。まだまだ効率UPを検討できるお宝ボイラもあります。その5つのケースを、イメージしやすいよう自動車の例とともに紹介します。

ケース①:時速100キロで走れない〔ボイラMCR(※Maximum Continuous Rating:最大連続蒸発量)が出力されない〕

 これはわかりやすいですね。アクセルを踏んでも踏んでもスピードが出ない自動車です。こうなったら普通は車屋さんで修理してもらいますよね?ボイラも同じです。このままの状態で運用しているんだよねっというボイラはあまりないかなぁと考えています。

ケース②:時速100キロで走る必要がなくなった〔必要とされる蒸気量が減ったので、出力を下げて運転している〕

 これもわかりやすいですね。サーキット走行が趣味で時速200キロ出るスポーツカーに乗っていたけど、趣味も変わって一般道をのんびり走っているという感じでしょうか。なんだかもったいないですよね。

ボイラは100%出力のときに最も効率が良くなるように設計しているので、80%のときは100%に比べると、もったいない運転をしています。生産設備など後流機器の都合で、出力を落として運転しているボイラはみなさんのまわりにありませんか?

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まだまだ続きます。

ケース③:時速100キロは出るけどスピードが安定しないので、制限速度をオーバーしないように90キロで走っている〔ボイラ出力が変動するので、意図的に安全サイドに出力を落としている〕

 これは怖いですよね。ドライバーは100キロ一定で走るようアクセルを踏んでいるのに、勝手に110キロに加速したりするのです。こんな自動車そもそも危険ですし、スピード違反で捕まらないように意識してスピードを落として走らないといけませんよね。

ボイラにおいては、これはちらほら見られるケースかなと考えています。ボイラにも安全上、超えてはいけない圧力が設定されているんです。もしベテランの方が、「昔はピタッと制御できてたけど最近安定しないんだよなーちょっと負荷落としとくか」、なんてことを言っていたら、それはもったいない運転をしているボイラです。

ケース④:めっちゃ山道を走るようになった〔出力の変動を頻繁に実施するようになった〕

 自動車もボイラも高速道路を一定の速度で走り続けることが都合が良いと説明しました。しかし最近、生産設備の状況や太陽光発電など自然エネルギーの増加によって、ちょっとボイラに求められる役割が変わってきているのです。何十年も経つうちに工場に求められる能力が変わるように、ボイラに求めれる能力も変わってくるんですね。出力の上げ下げが頻繁にあるなぁというボイラも、もったいない運転をしている可能性があり、一度調査したほうが良いケースです。

ケース⑤:燃料の種類が大きく変わった〔最近安い燃料使うようになった〕

 これはシンプルな話です。どうせなら安い燃料使いたいですよね。ガソリンの場合は”規格”といって成分がきちんと管理されているので、どこのガソリンスタンドで給油をしても影響はありません。

 ボイラを建設する際、お客様とメーカーでこういう燃料(石炭であれば炭の種類、重油であれば組成など)を使うからよろしく、とはじめに取り決めをさせて頂いています。ただ何十年も運用される中で、例えば自然の産物である石炭を、ずーっと同じものをとってこれるかと言ったら、そうじゃないですよね。または購買の方が、こっちのが安くない?と言って別の産地の石炭を仕入れてくるかもしれません。また油やガスであっても、なんか最近ボイラ汚れるなぁと思っていたら、実は昔と比べてS分(硫黄)や重金属類の成分が増えていた、なんてこともよくある話です。このように、燃料の変化も効率に影響を及ぼしている場合があり、もったいない運転をしているかもしれません。

ここまで、効率UP(または効率を回復)を見込める5つのケースを紹介させて頂きました。

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AIの登場

先程説明した5つのケースはなにも今に始まったことではなく、特別目新しいものではありません。お客様のベテランさんも私たちメーカーエンジニアも、ずっと取り組んでいることです。

ところが最近、新しく強力な味方がこの世に登場してきたのです。それが、AIです。これはすごいです。なにがすごいかというと、ボイラをボイラとして見ていないのです。人間であれば必ず持ってしまう”先入観”なんてものはなく、運転データをあくまでもただの数字として、純粋にデータのみを評価して良い悪いを導き出してくれるんです。そして何よりデータ処理能力が人間とは比べ物になりません。私もこれまで上司から「10年分の運転データ整理して」と言われ、”まじだりぃ”と思いながらも「はいわかりました(ニコッ)」と返事して作業したことが何度かありますが、AIなら文句ひとつ言わず、瞬時に作業おこない、さらにはバテることなく継続してくれるんです。使わない理由はありませんよね。

もちろん下線部のとおり、AIは数字のみで評価するので現実とそぐわない答えを出してくることもあり、人間の手で軌道修正してあげる必要があります。そのあたりは、これから先も、運用に関わるお客様とメーカが協力していけたら良いなと考えています。

AIはますます身近な存在に

”制御基本のキ”シリーズに興味をお持ちの方は薄々お気付きかもしれませんが、AIが活躍するケースは③と④と⑤です。大きな機器の改造であったり根本的な部分は、いかにAIでもちょっと荷が重いんですね。

「うちのボイラ、まだ効率上がるかな」や、「運用方法変わってきたんだよね」、「昔に比べて安定してないってベテランの〇〇さんが言ってた」、「AI使ってみたいんだけど、、、」など少しでもご興味持って頂けましたら、ぜひHPのお問い合わせ、または担当営業までお気軽にご連絡をお願いします。

ボイラ効率は主蒸気圧力など主要な運転データをいくつか解析することで、向上(回復)が可能かどうか簡単に評価することができ、今後のボイラ運用に活かして頂けるのではないかと考えます。

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まとめ

2回に亘りボイラ効率について説明させて頂きました。

・もったいないボイラの5つのケース

・AIの登場により、これまで気づけなかった改善も

これらの内容は、お客様のベテランさんであれじっくり腰を据えて考える必要があることから、日々の業務に追われる中ではなかなか手を出しにくい領域なのかなと考えています。ですが、設備のことを理解し、これから先もったいない運転をしないためにも今一度考えてみてはいかがでしょうか。

最後まで読んで頂きありがとうございました!また読者の皆様にとってタメになる記事を書いていきますので、是非ブログページの下部にあるメールフォローの登録をお願い致します。

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