こんにちは!いつもお読み頂きありがとうございます。
今回はボイラ制御を学ぶ上で最も基本といって過言でない、インターロックについてお話ししたいと思います。メーカの設計者ってこんなこと考えているんだね、となんとなくわかってもらえるはずなので、ぜひ最後まで読んでみてください。
(キーワード:インターロック線図、MFT)
基本の「キ」シリーズは新入社員など経験の浅い方に向けて、できるだけ平易な表現を用いて記述しています。物足りない方も多いかと思いますが、若手への転送など新人教育に活用頂けたら幸いです。

インターロック線図とは
みなさん、インターロック線図って聞いたことありますか?お客様の中にはコピーを中操に掲示していたりするとっても大事な図面なんです。私にとっても会社に入って初めて任された思い入れのある図面です。
しかし、私自身この仕事をするまで”インターロック”という言葉を聞いたこともなく、みなさんにとっても日常生活で馴染みの薄い言葉かなと考えています。私も言葉として理解しているのかしていないのか微妙なので、いつものごとく辞書で調べてみました。
インターロック・・・(誤操作や誤動作による)事故を防止するための仕組み。電子レンジで,扉が閉まらないと調理が開始されないなど。
まぁつまり事故を防止するための仕組みのことを言うようですね。電子のレンジの他には、
エレベータ:全ての階の扉が閉まっていないと、かごは動かない
洗濯機:脱水中に蓋があくと緊急停止する
ジュラシックパーク:2重ゲートの片方の扉が閉まらないと次の扉が開かない(結局いつも恐竜が暴れるので、インターロックという点ではまだまだですね。)
などがイメージしやすいでしょうか。ということで、インターロック線図とはボイラ事故を防止するための仕組みが書かれている図面のことなんですね。それでは、実際の図面を見てみましょう。

インターロック線図の見方
みなさんがお持ちの図面も、おおよそ上の図のようになっているはずです。少し解説しますね。左側は、”非常停止ボタンが押された”、”主蒸気圧力が高い”など、エレベータで例えると”扉があいた”に該当するイベントのことです。右側は”MFT”のひとつだけですね。
MFTとは、Master Fuel Tripの頭文字で、燃料を遮断する、つまりボイラ(緊急)停止という意味です。パソコンの電源ボタンを長押しして強制終了させるイメージです。できればあんまりしたくないですよね。
真ん中にあるこんなの ”l〇→” は、左のどれかひとつでも起きたら右に進みますよという意味の記号です。OR回路と言います。
余談ですが、制御関係の図面は基本的に左から右に読みます。
つまり、この図が言いたいことは、「左のイベントのどれかひとつでも起きたら危険だからボイラ停止させるね。(左のイベントに関連するデータは重要だから目を離さないでね)」
ということなのです。ここでいう危険とはボイラが破損する、事故が起きる、人に危害が及ぶなど、重大なものです。

どのように図面を作成してるの?
注目してほしいのは左の項目の中身です。いくつもありますよね。これはメーカの設計者が、「んーこれは危ないよね。」「あ、そうだそうだ、あのときやばかったからこれも追加しちゃおうよ」、などわいわいやって決めている、、、、わけではなくて、ルールでおおかた決まっているのです。
このルールが載っているのがNFPAとJEACです。
NFPA・・・National Fire Protection Association (全米防火協会)
JEAC・・・Japan Electric Association (日本電気保安協会)
NFPAはアメリカの由緒正しい協会で世界標準となっており、JEACはその日本版みたいなものです。各メーカはこれら協会の発行するルールブックに基づいて設計しているので、日本中、また世界中、どこのボイラも大体おなじインターロックのイベントが用意されているんですね。

何の役に立つの?
ここまでざーっと説明してきましたが、大切なのはNFPAやJEACなどルールブックの中身を覚えることではなく、運用しているボイラのインターロック項目を理解することです。丸暗記しちゃっても良いと思います。
「給水ポンプ停止でMFT、、、うんうんそうだよね、水がなくなって空焚きなっちゃうと危険だもんね。あ、だから給水ポンプはバックアップ用に2台設置しているのか!」
「最近FDFの調子が悪い?え、やばいじゃん、早いとこ次の定検で修理するか予備品手配しとかないとボイラ動かなくなっちゃうよ。」
「なになに?火炎喪失するとボイラ停止か、、、それを判断するのは火炎検出器、、、あれ、てかそもそも火炎検出器ってなにをどうすることで”火炎”を”検出”してるの?取説見てみよ!」
上のコメントはかなり強引に誘導していますが、インターロック線図を読むことでボイラ全体のことに視野を広げていけるんですよね。このようなこともあって、私の上司は新入社員の私にインターロック線図を指示したのかもしれません。(※先述のとおり、明確なルールブックがあるからそんなに迷わないってのもあると思います。)
まとめ
・インターロック線図は保護機能を記した重要な図面
・項目(イベント)はNFPAやJEACといったルールブックに基づいて決められている
・図面を見ることで、ボイラ全体の理解に繋げられる
以上、最後まで読んで頂きありがとうございました!
これまでの投稿からご興味をお持ちのこと、もっと知りたいことなどございましたら、ホームページの”問い合わせ”よりお気軽にご連絡をお待ちしております。
また読者の皆様にとってタメになる記事を書いていきますので、是非ブログページの下部にあるメールフォローの登録をお願いします。