汽力発電プラント(英語では「Steam Power Plant」)について基本的な知識を説明していきます。この発電方式は、バイオマス燃料だけでなく、黒液や高炉ガスなどの他の工業プロセスの副生物、また家庭から出るゴミ、石炭などさまざまなものを燃料とするものです。
記事を読んでいただけるとこの発電方式について基礎理解が身についていきます。
工場の自家発電設備や工業団地に電気・熱を供給する場合は、「コジェネレーション(熱電併給)プラント」などと呼ばれます。単に電気を作るプラントではなく、熱(蒸気)と電気を一緒につくって供給するプラントであることからこう呼ばれたりします。通称「コジェネ」などと表現されたりもしています。
1.汽力発電プラント概要
一般的な汽力発電プラントの概要について解説します。ボイラという設備に燃料を投入し、燃焼させることにより発生する熱を利用して水を蒸気に変えます。つくられた蒸気は、蒸気タービンという設備に供給され、蒸気の力で回転します。タービンの回転する力を利用して発電機が回り、電気が作られるのが一般的な汽力発電プラントの流れです。

出展:三菱日立パワーシステムズホームページ
2.コジェネレーションプラントの特徴
発電事業会社ではなく、製紙会社、製鉄会社、石油化学、石油精製といった業種の場合、汽力発電プラントの一種であるコジェネレーション(「熱電併給」「コジェネ」とも呼ぶ)プラントを利用しています。
単に電気を作るプラントではなく、熱(蒸気)と電気を一緒につくって供給するプラントであることからこう呼ばれたりします。
ボイラでつくられた蒸気を蒸気タービンに入れてから、途中で蒸気を抜き出し(これを“抽気”と呼びます)、その蒸気を工場のさまざまなプロセスで利用します。上記の図で、蒸気タービンから伸びている“蒸気”の図がまさにこれに該当します。
熱(蒸気)や電気など工場で利用するエネルギーを利用したい形態にあわせて作り出し、供給することで工場全体のエネルギー効率を最適にするように設計されています。
例えば、水を熱して蒸気をつくり、蒸気の力でタービンと発電機を回してせっかく電気をつくったのに、作った電気でまた水を沸かして熱湯にして工場のプロセスに利用するのはもったいないというようなイメージです。
最終的に利用するものが熱なのであれば電気に変換せずに供給します。
3.汽力発電プラントの全体像
今後、一つずつの設備について詳しく勉強していくにあたり、全体がどのような構成になっているかを知ることは有意義だと思います。別の記事でもう少し詳しく説明をしていきます。
パッと見るとややこしくて取っ付きづらいプラントですが、全体をいくつかの流れに分けて考えるとスッキリしてきます。
燃料、排ガス、水・蒸気、燃焼用の空気といった大きな流れがありますので一つ一つの流れを説明させていただきます。一つ一つの流れを追いかける時に関連する設備やその役割について少しづつ理解を深めていきましょう。

今回の記事は以上です。引き続きプラントの保全・操業のお仕事をしていくためにお役立ち情報を書いていきますのでよろしくお願いいたします。