熱疲労について【用語解説】

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こんにちは。汽力発電プラントの主な計画外停止理由であるボイラチューブリークでした。その中でも比較的発生頻度の多い熱疲労という事象についてご説明させていただきます。ボイラや熱交換器、配管などのメンテナンスのお仕事をされている方には重要な話ですので是非読んでみてください。

1.熱を受けると膨張する

日常生活ではまず聞かないこの「熱疲労」という言葉ですが、まず意味をご説明いたします。普通の暮らしをしていると感じることはあまりないのですが、金属は熱を受けると膨張する特徴があります。また、その膨張の程度はその金属が受ける熱の温度によって異なります。例えば電車の線路は少し間隔をあけて敷き詰められていますが、これは夏の炎天下や真冬でもレールがまっすぐになっていて電車が脱線しないように工夫されているそうです。

例えば、ある金属が25℃程度の外気に触れている時、その金属はほとんど膨張しません。一方で、同じ金属が500℃の熱を受けている時、大きく膨張するわけです。

熱による膨張イメージ
2.金属が隣り合う場合

では、これら膨張具合が異なる金属が隣り合い、溶接などにより接続されている場合、どのような現象が起こるでしょうか。一方はほとんど膨張せず、もう一方が大きく膨張すると以下のようにその膨張度合の違い(「伸び差」などとも表現される)から、その接点(溶接個所など)でストレスが発生します。

2つの金属が接続されている場合
3.膨張が繰り返される場合

そして、金属が「熱せられたり冷やされたり」を何度も繰り返されることによって接点へのストレスが蓄積していきます。そして蓄積されたストレスがある一定の限界を超えてくると正常に施工された溶接部であってもいつの間にか「き裂」が入ってしまうリスクが高まってくるわけですね。一般に「熱疲労」と呼ぶときにはこのように熱によって金属が膨張されたり、もとに戻ったりということが繰り返され、それによってストレスが溶接個所などの特定の部分に蓄積されてしまう事象です。

4.ボイラーチューブ漏洩

上記のような事象がもしボイラチューブと付着金物など何らかの温度の違う金属で繰り返されたらどうでしょうか。溶接個所への熱疲労が蓄積し、最終的にはストレスを受け続けた部分にき裂が発生してしまいます。一度入った小さなき裂はそこから深く入り込み、チューブの中を通過している水や蒸気は漏洩してしまうでしょう。この現象がボイラチューブリークにおける熱疲労のメカニズムとなります。実はこうした溶接部での漏洩が最も頻度として多いのですが、実際のメンテナンスの現場では管の厚さを計測することは定期的に実施していても溶接個所の確認に手が回っていないケースも散見されます。

漏洩個所(Leak Point)

以前と比較して電力系統には天候によって変化する風力発電は太陽光発電設備が増えています。こういった発電設備の構成であっても電力系統内では需要と供給が一致していないといけませんでしたね。ボイラを止めたり・動かしたり、または負荷を上げたり下げたりといったことが今後増えてくると思います。そうしたときにいつの間にか大きくなるリスクがこの熱疲労です。起動発停回数などをウォッチしながら、熱疲労リスクが高い箇所(例えば管寄せ・管台の溶接部や、火炉管と付着金物との溶接部など)については非破壊検査等を通じて設備の健全性を確認したいですね。

以上で今回の説明はおしまいです。引き続きお役立ち情報を配信してまいりますのでよろしくお願いします。

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