燃焼調整で上手に問題解決するヒント

person holding laboratory flask

今回は、設備課題の解決をする上で様々な場面で活用できる「実験計画法」というもののご紹介です。ボイラー設備の燃焼調整など複数の要素を短い期間で目的に応じて適切に定めなければならない時に有効な手法となります。分かりやすく書いていますので是非読んでみてください!

「清掃などのメンテナンスが大変になっているので、うまく燃焼調整して灰の付着を抑えたい」と考えていらっしゃる方はけっこう多いのではないでしょうか。例えば、炉内の差圧を灰付着の指標に設定するなど目的の値を定めます。実際に試験をやってみようとすると、ボイラーにあるたくさんのダンパ、バーナー、燃料のサイズ、空気の量など様々な要素をどのように設定すれば良いのか悩ましいですよね。どの要素をどのように設定すれば灰の付着が抑えられるのか?それが最初から分かっていれば良いですが、たいていそれが分からないから設備課題になっているんだと思います。なので多くの場合、試験をしながらデータを取って適切な設定を探しているのではないでしょうか。

例えば考えるべき要素が1つの「ダンパ角度」だけで、しかもその角度は50%か100%の2種類しかない場合は、「2回だけ試験をやって灰の付着状態を示す指標が少ない方を選ぶ」というシンプルな方法で済むのですが、実際の状況はもっと複雑です。10種類のダンパがあって、それぞれ30%、70%、100%の3つの角度から1つ選ばらなければならない場合は3の10乗ですから、59,049通りの組み合わせが考えられるわけです。で、上司から与えられる試験期間はたったの1週間で、1日あたり10通りの合計70回しか試験できないとしたらどうでしょうか?

各要素の組み合わせの数

この場合大きく以下の2つの問題に遭遇します。

①70回の試験で得た結果は何をどのくらい信じていいのだろうか

②すべての組み合わせを網羅できそうにない

そして、こうした問題にしっかりと応えてくれる手法が「実験計画法」というものです。

①の問題については主に統計学から平均、分散(データのばらつき具合)、検定や推定という考え方を使って、試験で得た結果から「どの要素が目的の値に影響がある」や「どの程度の信頼性を持ってどの条件のとき、目的の値はどの範囲になる」と客観的に示す方法で応えてくれます。

例えばダンパが1つだけであって、角度を30%、70%、100%とした条件でそれぞれ4回、合計12回の試験をしたとしましょう。その時に目的の値(今回は炉内差圧)が以下であったとしましょう。

ダンパー角度に応じた試験結果

同じ30%の列にある4つのデータに注目しても数字にばらつきがありますね。同じように70%の列、100%の列でもばらついています。これは計測器や記録した人のクセ、その他説明が出来ない誤差が含まれているわけです。体重計に乗るたびに、体温計を測るたびに微妙に数字が変わるのはこうした誤差があるからですよね。次に横方向に数字を見ていきましょう。横方向にある数字の違いは条件の違いによる影響を受けたものと考えられますね。このようにデータを誤差、条件の違いによる影響といったものに分解していくわけです。こうして分解された数字をもとに条件の違いが結果に影響を与えたと言えるのかなどを示しています。

②の問題については、複数ある要素とその要素がとる条件について、互いにバランスが取れた組み合わせを作ることで、少ない試験数で多くの要素に対して十分な試験の計画をすることが出来る方法で応えてくれます。

全てのケースを網羅することはできないが、すべてのケースがバランスよく含まれていれば①で説明したような計算ができます。例えば①のケースでダンパーが3種類あるとしたらどうでしょうか。試験ケースとしては、3x3x3で27ケース用意しなければならないと思うかもしれませんが、実は実験計画法の基礎的な考え方を使えば以下のように3x3の9つの試験ケースだけ用意すれば良いことになります。

3つのダンパーの3つの角度の組み合わせ

この表の見方はダンパ1は横方向を右に、ダンパ2は縦方向を下に見ていただいて、2つが交わったところにあるダンパ3が一つの組み合わせとなります。例えば一番左上は、「ダンパ1が30%、ダンパ2が30%、ダンパ3が30%の組み合わせ」という読み方です。

よく見ると縦横どう見てもダンパ1、ダンパ2,ダンパ3の各条件が同じ数でバランスしていますね。これは一般にラテン方陣と呼ばれ、オイラーというスイスの数学者によって研究された領域です。実験計画法ではこの考え方を利用してもっと多くの要素に対しても少ない試験ケースで十分な実験回数とするような方法を示してくれます。

いかがでしたでしょうか?以上で今回の説明はおしまいです。不明点や実務上のご相談があれば是非ご連絡くださいませ!書籍では「よくわかる実験計画法(中村義作)」が分かりやすかったです。もし興味を持たれましたら、読んでみてください。

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